概要
アルバムは用途に応じて次の三つに区分できる。
(1)販売用
写真館が風景・風俗写真を貼付して販売したもの。蒔絵に螺鈿細工を施した木製の表紙は、人工着色を施された鮮やかな色彩の写真とともに、 それ自体外国人の目を引く工芸品であり、明治中期に横浜を中心として盛んに製作された。いわゆる「横浜写真アルバム」である。
当館では40冊のアルバム(約2,000点)を収蔵している。幻灯写真をも含め重複を除く約1780点ほどが風景写真で、地域別にはやはり関東地方が最も多い。風俗写真は主題別にみると、いわゆる「美人もの」が一番多く、職業尽くし、駕籠や人力車など乗物関係、農村風景や稲作・畑作・養蚕・製茶関係がこれに次ぐ。これらによって、横浜写真の全容をほぼ把握できよう。
製作者の判明するものとしては、日下部金兵衛のアルバムが7冊、ファルサーリ商会のアルバムが3冊、スティルフリートと臼井秀三郎が各2冊、玉村康三郎が1冊ある。
(2)記録用
官庁の委嘱による官営事業の記録や、自然災害の記録などがある。
「明治初期ニ於ル横浜及ビ其近傍」(鈴木真一撮影 1876年頃) 「横浜水道写真帳」(鈴木真一撮影 1887年) 「関東大震災 被害状況写真帳」など。
(3)個人用
単体写真を購入して市販のアルバムに貼り込んだもの、アマチュア写真家が自ら作成したものなどがある。「香港上海銀行社員E.W.タウネンド氏個人アルバム」など
ステレオ写真―起源は古いが、著しく流行したのは20世紀初頭のアメリカである。50点、100点単位の箱入りの形で販売された。当館では5箱、約300点所蔵。
貼付写真―写真製版技術が考案される前には、挿画の位置に写真そのものを貼付することが行われた。資料としては新聞・雑誌や図書の範疇に属するが、複写されたものは「情報としての写真」に属する。写真と文字の結びつきが緊密であり、資料価値の高い写真が多い。
“The Far East”(新聞・雑誌)・Brinkley,”Japan”(洋図書)など。
【資料番号】Ac1-100
【総数】40冊(約2,000点) ※ほかステレオ写真:5箱(約300点)
【年代】幕末・明治・大正・昭和期
【閲覧】複製写真
【複写】複製写真からの電子式複写
【検索】当館編・刊『F・ベアト幕末日本写真集』(1987年)、横浜都市発展記念館・当館編『文明開化期の横浜・東京:古写真に見る風景』(有隣堂、2007年)、当館編『彩色アルバム:明治の日本』(有隣堂、1990年) 、横浜都市発展記念館・当館編『横浜ノスタルジア:昭和30年頃の街角』(2007年)等
【備考】斎藤多喜夫「写真の考古学」(『地方史研究』234号、1991年)、同「博物館・資料館における写真の保存と活用について」(『神奈川県博物館協会会報』65、1993年)、同『幕末明治 横浜写真館物語』(吉川弘文館、2004年)


